21回全国公募南九州水墨画展の開催にあたり、ひとことご挨拶申し上げます。本年は全国から144点96名の応募があり、さる6月25日に今岡琴子先生、下原美保先生、芝龍郎先生、山西健夫先生、そして私を含めた5名で審査に当たり、88点の入賞・入選を決めました。今回最高賞を受賞された遠矢ノブ様は1991年に初出品以来連続15回にわたり応募していただいている方です。その繊細な描写と柔らかな筆致は他に類を見ない独特の世界を築いておられます。今回のモチーフは大暑の頃の桜並木という事ですが、こうしてこの作品の前に立っておりますと、桜並木に燦々と降り注ぐ陽の光・穏やかな風に揺れる桜の梢・桜の幹にとまった蝉、これらがあたかも動画のように数々の色を髪髭する作品に仕上がっております。まさに遠矢様ならではの世界がそこに広がっているようにも思えます。
咋年この水墨画展は海を越えてフランスの国立海洋博物館で2ヶ月もの長い期問に渡り展示することが出来ました。モノトーンの作品でありながら、その濃淡で、様々な色をイマジネーションさせる水墨画に、そこを訪れたフランスの方々が魅了されたことは言うまでもありません。
この水墨画展が今後ますますより多くの方々に親しまれ、励みになればこれ以上の幸せはございません。これからも、よろしくご指導のほどお願いいたしまして、ご挨拶に代えさせていただきます。